青龍堂の理念

初めまして。青龍堂店主の小山健二と申します。

私の家は曽祖父の代から美術商をしており、私で四代目になります。私自身は銀座のフジヰ画廊で16年間修行をした後、青龍堂を引き継ぎました。

美術商というと高額な美術品の売買をするというイメージがある人も多いようですが、私自身は商売すること以上に美術品とのつきあいが楽しくてこの仕事をしています。

美術品は、美術館で見て楽しむのはもちろんですが、自分と波長があった作品を購入して身近におくと、その作品で毎日の自分の気持ちの持ち方が変わったり、それによって運命までが変わることもある、という醍醐味があります。

生活を豊かにする美術品との出会い

お客様の中には実際に、気に入った作品を身近においたことで人生が変わった、という方もいらっしゃいます。そのお客様はお仕事が大変な時に、どうしても欲しいと思える作品に出会ってしまったのです。どうしようかと迷われたものの、思い切って購入されたのですが、大分たってからお話を聞いてみると、
「いやあ、苦しかったときも、毎日あの絵に元気づけられて本当に力が湧いてきたよ。
と感慨深げにおっしゃっていたのが、とても印象に残っています。

どんな絵が自分にぴったり来るのかは人によって違います。そのときの環境や状況によってもぴんと来る作品は変わってきます。生涯を通して好きな作品に出会うこともあれば、人生の段階に応じて好きな作品が変わることもあります。

好きになる作品はひとそれぞれ

大勢の目をひくような派手できれいな作品や流行の作品の方が価値があるのか、というとそうとも限りません。

その作品が醸し出す雰囲気や作品が持っている品格とでもいうようなものは、その作家さんの生き方や環境、その作品を描いた時の状況などと深く関わっています。

その雰囲気が今の自分にぴったりくる作品は、無名なものであってもそのときの自分にとって一番影響力を持っていたりします。

この作品は人気があるだろうけど、自分にはぴったりこないな、この作品はさすがに素晴らしいけれども、家におくものじゃないな、
綺麗だけれど、今ひとつ伝わってくるものがないな・・・これは毎日見ていたい作品だな・・・

美術品を見慣れてくると、こんなことがなんとなく感じられるようになってきます。
そんなことをいろいろ感じながら作品を見るのもとても楽しいものです。

美術品は高く売るためのもの?

美術品は一般的に高く売って儲けるための手段と考えられています。
株式や不動産などのように、投資対象として見られているのです。
それが悪いとは言いませんが、純粋に作品を楽しんだり、優れた美術品の本当の魅力や、人生を変えるような力を知らない人が多いのはとても残念なことです。

私はときどき、デパートの美術品売り場などにもでかけます。どんなセールストークをしているのかを見たりするのですが、
「今はこれがはやりです」
「これなら高く売れますよ」
といった言葉ばかり聞こえてきて、作品の良さにはついてはほとんど語ってくれていないのが残念です。

流行の作品を手に入れて自慢したい、高く売りたいと考えている人が多いので、それに合わせたセールスをした方が効率的なのかもしれません。
ただ、それではいつまでたっても美術品本来の楽しみ方を知る仲間が増えていきません。

idea_img02

作品本来の価値を知るには

美術品の値段は非常にわかりづらいものです。

株式なら会社の価値なのである程度数値化できますが、美術品の価値は作品の状態、年代や歴史的位置づけなど、複合的な要素が合わさって生まれます。更に作品の良し悪しの判断には感性の占める割合も多く含まれます。

バブルの時には多くの美術品が投資目的で購入されて値段がはねあがりましたが、その後、大損をした人がたくさんいました。それは美術品の本来の価値と離れすぎた、不健全な市場になっていたからです。

値段を決めるのが難しいとはいえ、私は今までの美術商としての経験から、その作品本来の本質的な価値は存在していると思っています。

価値は正確に数値化することはできませんが、多くの作品を見ているとだんだん感じられるようになってくるのです。

ある程度美術品を見る目をもった人たちが一定数以上いれば、良い作品に高値がつく健全な市場が育っていきます。市場が健全なら、自分で掘り出し物をみつけて安い値段で購入し、後で値上がりしたので喜ぶ、というのも確かに楽しみの一つです。

売れるかどうか以上に、「自分の見る目は正しかった!」「同じ感覚でいいと思う人がたくさんいた!」とわかるのはそれだけでも嬉しいからです。

多くの人に美術品を楽しんでいただくために

ただし、自分なりに美術品の良し悪しを感じるようになるには、ある程度いろいろな作品を見たり、それについての情報やエピソードを知って関心を持ったりすることが大事です。

どの作品にも作家さんにも、それぞれのストーリーや人生のドラマがあります。そんなことを知って作品を見ると、共感を感じやすくなってきます。
私は、できるだけ多くの方が美術品に親しみ、その作品の良さを知るお手伝いができればと思っています。

そこでこのサイトでは、今、当店にある作品を中心に、その作品についての特徴やエピソード、作家さんについての情報、裏話など、一般ではなかなか知られていない興味深いお話をお伝えしていきます。

あなたが作品に興味を持つきっかけの一つにしていただければ、とても嬉しく思います。